
「わたし太ってます」と語る体重28㎏のIさん(20代女性)
Iさんは外出先で倒れ、内科の病院に緊急搬送された後、精神科病院に転院して来られました。Iさんは身長158㎝でしたが、入院当初は体重が28㎏しかなく、主治医からは『摂食障害』との診断を受け、毎日2回の栄養補給の点滴と服薬による入院治療を受けることになりました。ただ、Iさんには自分が病気だという病識がなく、カウンセラーの私に対しても、「太っているから、もっと体重を落としたい。病室の中でどうしたら運動できますか?」と話していました。
『摂食障害』は、食べない(拒食)や食べ過ぎてしまう(過食)等といった食行動の異常を特徴とする心の病ですが、一番怖いところは、Iさんのように『医学的に見て入院が必要なほどやせている』という客観的な事実と「わたしはまだ太っている」と、自分に対する認識がズレてしまっている『認知の歪み』が生じていることです。
Iさんは中学生の頃からダイエットを始めました。やせていることで周りの人から綺麗とほめられ、嬉しかったといいます。それから、勉強も仕事もできて、いつまでもスタイルが良い自分であり続けることがIさんの一番の望みとなり、仕事でミスをしたり、人間関係が上手く行かないことがあったりすると「わたしが太っているからだ」と思い込むようになりました。
Iさんとは、「あるがままの自分、等身大のわたし」を受け入れること、体重の多い少ないといった“外見”ではなく、「本当は、自分の能力、“中身”を皆に認めてもらいたいこと」などを話し合えるようになった頃、Iさんの体重も平均体重に近づき、退院して外来通院に切り替わりました。