子どもの頃に身に付けたい、自制心(セルフ・コントロール)の心理学!

さて、今回は自制心に関する心理学をご紹介します。自制心とは、自分の感情や欲望、行動をコントロールする力のことです。子どもの頃に培った自制心が、その子の将来の社会的成功に関係するのかどうかに注目したスタンフォード大学の心理学者W.ミシェル博士によって以下のような実験が行われました。

ある教室に4歳の子どもたちが集められました。机に向かって座った子どもたちの前には、一人に一つずつマシュマロが置かれていて、先生役の実験者が子どもたちに次のように伝えました。
「私が部屋を出て、またここに帰ってくるまで15分間、マシュマロを食べるのを我慢できたら、もう一つマシュマロをあげるよ」。さて、どれくらいの子が15分を耐え抜いて、2つ目のマシュマロをゲットできたでしょうか…?

これは有名なマシュマロ実験と呼ばれる研究です。実験に参加した180人以上の子どもたちの内、約2/3の子どもたちは待てずにマシュマロを食べてしまいましたが、残りの1/3の子どもたちは15分間を我慢して、2つ目のマシュマロをゲットできました。この実験では、参加した子どもたちのその後の調査も行われ、16年後の時点での学力が、マシュマロを食べるのを我慢できた子の方が大きく伸びていたという結果が発表され、『4歳で我慢ができた子は、将来学力も上がり、成功する可能性が高くなる』と話題になりました。

ただし、この研究結果は現在は否定されています。2018年、参加者を900人以上に増やし、マシュマロ実験の再検証を行ったところ、子どもがマシュマロを我慢できるかどうかではなく、その子の家庭の年収など、経済的に恵まれているかどうかが関係していることが分かりました。つまり、裕福な家の子は、マシュマロを目の前に置かれても、満たされていて食べなかったので、結果的にもう一つを貰いやすく、教育にもお金をかけて貰えるので、学力は高くなる傾向がある、ということです。「世の中しょせんお金か!」と言いたくなる、なんとも世知辛い、面白みのない結果ですね…。

『我慢』と『自制』は似て非なるもの!自制心を高め、社会的成功へ!

「自分の欲を抑える」という意味で『我慢する』という言葉がありますが、実は我慢をすることと自制することは違います。当時、マシュマロ実験の研究結果から、『我慢できる子=賢くなる子だから社会的に成功しやすい』と注目されがちでしたが、目先のマシュマロを食べずに待つことでもう一つ多く貰えた子どもたちは、ただただ食欲を我慢していたのではなく、待っている間、他に楽しいことを考えたり、独り言をいったり、歌をうたったりして気を逸らすことで欲求を自制し、「待つ時間」をやり過ごすことができたことが分かっています。
子どもの自制心を育てる働き掛けはそれほど難しいことではありません。例えば、TVをみる時やゲームをする時に事前にルールを話し合い、子どもがそれを守れた時や我慢ができた時に適切にほめることが大切です。子どもは待つことや約束を守ることの大切さを学び、気持ちや感情のコントロールを身に付けて行きます。同時に、おとな自身が一度決めたルールや約束を守ることも重要です。私達おとな自らが自制心の大切さを子たちに伝えたいですね。

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