人は仲間の前では良いカッコしたくなるもの? “集団”の心理学!

ことわざに、『三人寄れば文殊の知恵』という言葉があります。これは「凡人でも三人もいれば、それなりに良い考えが浮かぶものだ」という意味です。確かに、人々が協力し合って生み出されるのは知恵だけではなく、芸術や技術、スポーツ等々多様にあり、まさに“力を合わせる”ことは人類全体の文明発展の礎と言えます。

ただし、心理学では、時に“人が集まること”によって生まれる弊害があることも指摘されてきました。人はある集団の中では、①一人一人が負う責任が少ないと錯覚する、②集団の中では強く、説得力のある人の意見に流されやすくなる、③集団の中で自分の力を周りに示したいという欲求が生まれる、といった傾向があり、集団として極端な意見が選ばれやすいという『集団極性化』が起こりやすくなります。
 
また、2023年1月、回転寿司店に来店した少年たちが醤油差しの注ぎ口を舐めたりする動画がネット上に拡散されました。同様にその他の飲食店でも、迷惑行為を撮影した動画がいくつもニュースで取り上げられ、一時期、大きな社会的話題となりました。
それ以前には、ツイッターを使ってバイト先の飲食店などで、店員が面白半分に商品や備品を使ってふざける動画や写真を撮りネットにアップする行為が頻発し、それによって評判が落ちて店舗が閉鎖に追い込まれたりする事件もありました。
 
おそらく、「少数の仲間内だけで楽しむため」という浅はかな考えで行った行為が、どれ程の社会的反響を生むのか、「みんなにウケる」を優先し、それを考えることが出来なくなっていたのではと思われます。そうした、①似たような思考の人たちが集まり、②その集団の中で自分の意見や行動が繰り返し認められることで、『自分たちの行動が正しい(仲間にウケる)!』と思いこむ、『エコーチャンバー現象』も起こります。

SNSで広がるエコーチャンバー現象による“いじめ”の増加!

 エコーチャンバーとは、「反響室」のことで、様々な方向から音が反ってくる部屋のように、似た者同士の集団の中で、皆が自分と同じような意見を持っていると、あたかもその集団の中の価値観が“世の中の正義”と思い込んでしまう錯覚が起こります。

それが悪い方に向いた結果として、ネット上での“いじめ”の問題が拡大しています。例えば、ある特定の相手に対して、否定的な意見を持つ仲間集団の中では、その相手を責める意見が増幅しやすく、攻撃することや皆にウケる(承認される)ことをすることが“正しいこと”という思い込みが生じ、ネット上での匿名性や「自分だけじゃなく皆が言っているから」という責任の分散化も拍車を掛ける要因となります。
 
特に、SNSに触れて間がない小中学生のお子さんのいるご家庭の皆さんは、どうか定期的に子どもたちのSNSをチェックしてあげてほしいと思います。
家族でも、成長に合わせて子どもの人権やプライバシーに配慮するのはとても大切なことです。ですが、少なくとも成人するまでは、「家族に見せて恥ずかしい内容をSNSでやり取りしない」といった約束をご家庭で作るのは、子どもをネット上の危険から守る上で有効ではと考えられます。
SNSを使う上で、何が正しく、何が間違っているのか、きちんと考える力が持てるように、便利さとともに危険性を子どもたちに教えることが、現代を生きる保護者の皆さんの大切な役割の一つではないでしょうか。

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