2024年9月、茅ヶ崎の市立小学校のニュースが報じられました。以下に事件の内容を要約します。
- 5月、学校内で小2女子児童が複数の小6男子児童に下半身を触られる性的被害を受ける。女児が友人とやり取りしたSNSを保護者が見て発覚。
- 学校と3人の男児と保護者とで話し合いの場が持たれ、男児のうち2人は体に触ったことを認め、「女性の体に興味があった」「以前も(他の女児に)いたずらをしたことがある」と説明。
- 6月、学校で津波被害を想定した避難訓練で、2年生は上階の加害男児のいる6年生の教室に避難することになった。その後、女児は発熱や体調不良を訴え、学校を欠席することが増える。医師から心的外傷による『急性ストレス障害』との診断を受けた。
- <女児は、学校のトイレを使用する際は女性職員の付き添いがないと一人で行けなくなったが、担任の男性教諭から「トイレまで(男児が)来るわけないだろう」などと言われる。/li>
- 7月、女児に教員が加害男児の『反省の言葉』を代読。この件は事前に保護者や市教委に相談もなく、女児は「(男子児童らに)もう関わりたくない」と恐怖心を語った。保護者は「性的被害がどれだけ心を傷つける重い事件なのか向き合い、再発防止の姿勢を見せてほしい」と訴えている。
この事件は現在(2024年9月末時点)もまだまだ“解決”に至っておらず、なにより被害を受けた女児や保護者の方など関係者にとって大変痛ましいものです。ですが、学校現場での心理臨床に携わる者にとって多くの事柄を示唆しています。
SNSを保護者が見て発覚
子どもを対象とした性暴力の事件が報道されることは多く、私がこれまで受けた児童生徒の相談の中でも複数件ありました。低年齢の子どもであっても、子どもは子どもなりに自分が加害者にされたこと、特にそれが性に関することに敏感に反応します。それは強い『恥ずかしさ』や『自己否定』の感情となり、実の親であっても、おいそれと口に出せないと子どもから直接聴いたことがあります。
この事件の被害女児も、相手が友人(おそらく同年代の同性の子?)であり、SNSというツールを通していたから、出来事を表現できたのではないかと思います。もしかすると、保護者に直接言ったら、「なんでもっと早く言わないの!」とか「すぐに逃げればよかったじゃない!」などと怒られるんじゃないかと怯えていたのかも知れません…。もしかすると、いじめ被害にあった子どもが家庭で被害を訴えられず、むしろ、いじめの事実を隠そうとする気持ちに近いのではと思います。
子どもたちに対して、よく「何か困ったことがあったらおとなに相談してほしい」といいます。私自身、児童生徒を前にした講演などでもたくさん言ってきました。ただ、この言葉の難しいところは『何かあったら』を特定していないことです。その判断を子どもに丸投げしてしまっているため、子どもからの“発信”がないと、動くに動けない自縄自縛の呪いとなってしまうものです。
ただ、『何か困ったことがある子ども』には、必ず何かしらのサインがあります。特にお子さんを持つ保護者の方々に覚えておいてほしいことは、日常の家庭で見せる姿に違和感を覚えた時に“気づき”を持ってほしいということです。
それは、たとえば次のような様子です。
- 食事の量が少ない。もしくは食べようとしない。
- 口数が少ない、自室にこもったり、一人きりになろうとする。反対に、いつもよりもべったり寄り添ってきたり、離れようとしない。
- 表情が乏しい、表情が暗い、もしくは、いつもよりも多弁多動で明る過ぎる。
- 様子を尋ねても、「大丈夫」「何もない」と繰り返す。
など
おそらく、被害女児の保護者の方も、なにかしら普段と異なる様子に“気づき”を持って、SNSのやり取りの内容から出来事を知ったのだろうと思います。些細なことであっても、普段と違うという違和感に気が付けるのは、いつも一緒に暮らしている保護者の方だからこそです。是非そのアンテナを大切にしてほしいと思います。
次回「『ひとの立場になって』心に寄り添うということ ②」に続きます・・・